デフレとインフレ 2008 5 31

書名 デフレは終わらない
著者 上野泰也  東洋経済新報社

 この本を読むと、
「デフレは終わらない。そして利上げもない」という気がしてきます。
なんだか著者の強い意志を感じます。
 しかし、こういう経済情勢が続けば、
庶民の資産形成は、難しいでしょう。
 「貯蓄から投資へ」という時代ですが、
投資で資産形成をするとなると、
どうしても投資方法において上手・下手、あるいは運・不運がありますので、
やがて学校の成績のように、投資の成績(資産形成)に大差がつくことになるでしょう。

お金の価値 2007 11 17
 こういうタイトルをつけると、
「お金の価値は変わるのか。不変ではないか。
100円硬貨は、いつまで経っても100円ではないか」と聞かれます。
 実は、日本では、高学歴の人でも、
「時事や政治、社会のことは、よく知っているけれど、
経済や金融は、よくわからない」という人が多いのです。
 A 1個100円商品が、1か月後は98円になっていた。
  半年後には94円になっていた。1年後には89円になるかもしれません。
 B 1個100円商品が、1か月後は109円になっていた。
  半年後には114円になっていた。1年後には128円になるかもしれません。
 Aのようなケースの場合、買い控え、
つまり、もう少し待っていれば、さらに安く買うことができると思うでしょう。
でも、ここで思考停止してはいけません。
 このような場合は、100円硬貨の価値が大きくなったと感じるべきです。
つまり、デフレの時は、何もしなくても、
たとえ金利がゼロでも、お金の価値は増えているのです。
そういうわけで、デフレの時は、タンス預金が、ベストな資産運用となるかもしれません。
(ただし、泥棒に盗まれるというリスクがあります)
 Bのようなケースの場合、買い急ぎ、
つまり、急いで買わないと、損をしてしまうと思うでしょう。
値上がりする前に、「買いだめ」をしようと考えるでしょう。
 しかし、これは、実体経済の話です。
ここで思考停止してはいけません。
「100円硬貨の価値は、どうなるのか」と考えなければなりません。
当然、100円硬貨の価値は、どんどん小さくなっていきます。
タンス預金なんかしていたら、さあ大変です。
100円という額面は永久に不変でしょうが、価値は、どんどん減っていきます。
 私が小学生の頃は、ジャムパンは、1個15円でした。
だから、100円硬貨で何個もジャムパンを買うことができました。
今は、100円硬貨でジャムパンを買うことができますか。
 Bのようなインフレの場合、金利も上昇するので、
つまり、100円にも利子がついて、105円、110円と増えていくので、
損はしないと思うでしょうか。
 しかし、たいてい、インフレに金利は追いついていけないのです。
それが、過去の経験則です。
 そういうわけで、インフレになったら、
資産運用をしないと、あなたの資産は、どんどん減っていくでしょう。
 問題は、実際に、そうなった場合、ある程度の金融知識がないと、
悪徳業者に、「有利な金融商品がある」と言われて、
あなたの資産を巻き上げられてしまうリスクがあります。
たとえ、悪徳業者でないにしても、
業者に有利で、金融消費者に不利な契約になってしまうかもしれません。
 ここまで読んでくると、
「なんだ、インフレよりも、デフレの方がいいじゃないか。
デフレの時は、何もしなくても、
タンス預金でも、お金の価値は増えていくのだから、
ずっとデフレの方がよい」と思ってしまうかもしれません。
 しかし、それは間違いです。
最終的にデフレで得をするのは、「金持ち」だけです。
 たとえば、こう考えてみましょう。
デフレということは、商品の値段が下がっていくことです。
つまり、メーカーの利益は、どんどん減っていくでしょう。
そうすると、メーカーに勤務する、あなたの給料も減っていくことになると思います。
企業は、赤字にならないように、あるいは利益を確保するために、
人件費を削減することになるからです。





















































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